ヘルスケアNEWS

不眠は疲れだけでなく、肥満や生活習慣病などの原因に?!
「適切な睡眠時間」を知り、睡眠と目覚めのメリハリが大切

「疲れているのに眠れない」「昔は布団に入ればすぐ眠れたのに」そんなお悩みはありませんか?

「睡眠負債」という言葉も生まれるなど、不眠は今や社会問題にもなっています。
行政などの調査では大人の約20%が慢性的な不眠、15%が日中に過剰な眠気を感じているというデータも!不眠は日中のパフォーマンスを下げるだけでなく、食欲を過剰に増進させるため太りやすくなったり、生活習慣病やうつの原因になるとも…。

また、最近ではスマホやパソコンの普及で10代でも不眠に悩む人が急増!そのため、厚生労働省が「睡眠障害対処 12の指針」を出すなど、年代を問わず「適切で質の良い睡眠」を摂ることが体と心の健康のためには不可欠とされています。

では「適切で質の高い睡眠」とはどんな眠りのことでしょうか?

睡眠には脳を休める「ノンレム睡眠」と体を休める「レム睡眠」との2種類があり、眠っている間は、この2つを90分程度のサイクルで交互に繰り返していると言われています。
一般的にはノンレム睡眠を深い眠り、レム睡眠を浅い眠りと言っているため、ノンレム睡眠だけが良いと思われがちですが、実はどちらも体にとっては大切。

ノンレム睡眠の時に起きると目覚めが悪く、疲労感などが残ることもあるので、自分にとって「適切な睡眠時間」を知り、できればレム睡眠状態の時に起きるのが良いとされています。

よく「8時間以上眠る方が良い」と言われていますが、これは全くの迷信!適切な睡眠時間にはかなり個人差があり、その多くが6~8時間程度と言われています。
とくに年齢を重ねると睡眠時間が短くなる傾向にあり、8時間寝ようとしても寝られない、途中で起きてしまうという方は無理をして8時間寝る必要はありません。
「疲労感なく起きられる」、「日中に過剰な眠気を感じない」時間が適切な睡眠時間になるので、「自分は何時間くらい寝ると快調なのか?」チェックしてみると良いでしょう。

また、「この時間に寝なくては!」と時間を決めつけるのではなく、「眠たくなってから寝床に就く、就床時刻にこだわりすぎない」ことも適切な睡眠につながると言われています。

すぐにできる!睡眠の質を高める「7つの快眠法」とは

「自分にとって適切な睡眠時間と起床のタイミングを知る」ことが重要ですが、睡眠の質を高めるための「快眠法」を知っておくと便利です。具体的には、

①適度な運動、しっかり朝食!眠りと目覚めのメリハリをつける
②就寝時の部屋はできるだけ暗く、起床時は明るくして覚醒させる
③部屋着からパジャマに着替えるなど、体も心も眠る状態へと切り替える
④38~40度のややぬるめのお風呂に毎日入浴する
⑤就寝前にスマホ、パソコンは絶対に見ない
⑥就寝前の喫煙、カフェインの摂取は控える。寝酒もNG!
⑦室内を睡眠に適した温度・湿度にする

ことがポイント!

まずは①~③にあるように「睡眠・目覚め」のメリハリをつけることがカギ!運動はスムーズな入眠と中途覚醒を防いでくれますが、「就寝前に過剰にやりすぎてしまう」のはNG!かえって神経を高ぶらせ、眠りを妨げることにもなるので、睡眠を意識するなら夕方くらいに軽めのウォーキングなどが良いでしょう。
そして朝食は必ず摂ること!体だけでなく、心も覚醒させるため、スムーズな目覚めへと誘ってくれます。
また寝る時は暗く、起床時は明るくするのも良いメリハリに。真っ暗にする必要はないですが、「白い光」は睡眠の質を下げるので×。朝は電気をつけても良いですが、太陽の光を浴びると「体内時計」が整うと言われているので、天気の良い日はカーテンをあけて明るくしましょう。また、家に帰ったら部屋着に着替え、そのまま寝るという方!できれば寝る前は「パジャマ」などに着替える方が◎。パジャマにこだわることはないですが、「寝る前の習慣」を決めると眠りへの意識を高めてくれます。

④の入浴も睡眠にとっては大切!ぬるめの温度で体の芯まで温めるのが良いですが、就寝する1~2時間前までにすませるのがGOOD。一般的に体の内部の「深部体温」が下がっていくタイミングで眠りに入るのが良いとされているので、入浴するタイミングも考えましょう。

⑤と⑥はやってはいけないNG習慣!
スマホやパソコンの光が眠りに良くない…というのは最近広く知られていますが、就寝前の喫煙もニコチンが中途覚醒を促すので睡眠の質を低くする原因に。またカフェインも入眠を妨げるだけでなく、利尿作用もあるので、眠る3~4時間前からは控えた方がベター。「寝酒が習慣」という方も多いようですが、アルコールは入眠を一時的には促進しますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなり、熟睡感が低下することも…。さらに、体が慣れてだんだん「飲む量が増えていく」傾向にあるので、注意が必要です。

最後の⑦ですが、寝る時の環境もスムーズな入眠・中途覚醒の減少など睡眠の質を高めるためには重要!一般的に温度は26度、湿度は50~60%が良いと言われています。が、快適と感じる温度には個人差があり、季節によっても違うため、「暑さ・寒さ」が気にならない程度に保つのが◎。衣類で調節するのも良いですが、あまり着込んでしまうと汗が逃げず、寝苦しくなってしまいます。

トリプトファン、クロセチンなど、眠りへ誘う健康成分を摂り入れるのも効果的

7つの快眠法など生活習慣を意識することで「快眠」を促すのがコツですが、「快適な睡眠へ誘ってくれる健康成分」を摂るのもおすすめ。

アミノ酸の一種であるトリプトファンは、セロトニンという脳内の神経伝達物質を作り、睡眠へと誘うホルモン「メラトニン」に変化するため、トリプトファンを多く含む豆腐や油揚げなどの大豆製品、マグロやカツオなどをふだんのメニューに摂り入れるとGOOD。美容食材としてブームになったアボガドもトリプトファンが豊富です。
ただ、トリプトファンの睡眠への効果を期待するなら「朝」食べる方が良いです。
快眠成分と聞くと「夜」のイメージがありますが、トリプトファンが脳内に到達し、メラトニンに変化するまでは時間がかかるので、しっかり実感したい!という方は朝食か午前中、早めの昼食として摂るのが◎です。
もっと手軽に…という方はサプリメントなどの活用も!最近は睡眠に効果があるクロセチンやGABAなどが手軽に摂れるので、忙しい方には良いでしょう。

さて、ここでクエスチョン!

眠れない時は「羊を数えると良い」といいますが、なぜ「羊」になったのでしょうか?

〈1〉古代ギリシアで「羊」が睡眠をつかさどる「神」と言われていたから
〈2〉「sleep(眠る)」と「sheep(羊)」の発音が似ていたから
〈3〉羊のモコモコした姿を連想すると「眠くなる」と信じられていたから

正解は…

「眠る時に羊を数える」という習慣はイギリスが発祥と言われています。
なぜ「羊」なのか?には諸説ありますが、「sleep(眠る)」と「sheep(羊)」の発音が似ていたため、「sheep(羊)、sheep(羊)…」と言っているうちに「sleep(眠れ)、sleep(眠れ)…」と暗示にかかるからという説が有力!
ただ、イギリスなど羊が身近な動物である地域では羊を数えることは睡眠に効果があると考えられていますが、あまり馴染みの少ない日本などでは効果がないとも言われています。
実際のところ、単純作業を繰り返すと眠くなるそうですが、日本人の場合は、「羊ってどんなだっけ?」とイメージしようとするとかえって脳が活発になるリスクがあるので、何かを数えるなら連想をしやすい動物などの方が良いでしょう。

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