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ビューティー&ヘルスケア特集Vol.26 美意識の歴史を知ろう!〜飛鳥から令和へ続く化粧文化〜ビューティー&ヘルスケア特集Vol.26 美意識の歴史を知ろう!〜飛鳥から令和へ続く化粧文化〜

1300年前の日本女性のオシャレとは?

時代によって美しさの基準は変わります。しかし一方では1000年以上前から変わらずに私たちへと受け継がれている美意識もあるようです。今回はそんな日本女性の化粧史を振り返ってみましょう。

もっとも古い日本の美人画として知られるのは、7世紀末頃に埋葬された高松塚古墳の壁画に描かれた飛鳥美人です。下ぶくれのふくよかな顔、眉は細めの三日月型、唇は紅をさしたように赤く彩られています。また、『日本書紀』には、692年に日本で初めて白粉(おしろい)が作られ、女帝・持統天皇が褒美を出した記述が残っています。
白い肌に赤い唇という現代にも続く美意識が、1300年前から育まれていたことに驚きます。

奈良から江戸までの流行スタイル

奈良、平安時代は貴族や公家たちが主役です。この時代に、眉を抜き、代わりに額に眉を描くという日本独特の化粧法が登場します。これは貴族男子にも広がっていき、徐々に額の上部に眉が描かれるようになります。
『百人一首』や『源氏物語』の絵巻に描かれるような、長い黒髪に色白なふっくら顔、額に描かれた丸い眉とおちょぼ口が、美人の象徴でした。

武士が治める鎌倉時代になると、女性たちの装いも優美なものから軽やかで活動的なものへと変化し、薄化粧が主流になります。続く室町時代には、庶民の暮らしにもゆとりが生まれ、白粉や紅などの化粧文化が大衆へと広がりました。

そして、動乱の戦国時代を経て迎えた江戸時代。天下泰平の世で町人文化が成熟し、女性たちはお洒落を楽しみます。
髪を結い上げるようになり生え際への美意識が生まれたり、錦絵を通じてファッションリーダーともいえる遊女たちのスタイルが大流行したり。数多くの化粧指南書も発行され、「厚く塗った白粉や照り輝く口紅は見苦しい」という辛口な意見もみられ、早くもさまざまな情報が行き交っていたことがわかります。

そんな江戸時代のユニークな流行のひとつが「笹色紅(ささいろべに)」という緑色の唇です。高価だった紅を重ねづけして出す緑色はステイタスシンボルでした。これに憧れた町人たちは安価な墨を下地に塗って真似たといいます。
「最新の流行を知りたい、真似たい、きれいになりたい」。そんな気持ちは今も昔も変わらないようです。

江戸時代までの美のスタンダード「引眉」と「お歯黒」

現代に通じる化粧感覚を持っていた先人たちですが、私たちと大きく異なる美意識が2つあります。「引眉(ひきまゆ)」と「お歯黒(はぐろ)」です。
眉を剃ったり抜いたりする「引眉」は、奈良時代以前から続く化粧法で、表情を相手に読まれないために眉を隠したのが始まりといわれています。江戸時代になると、女性は成人したり出産したりすると一人前の証として「引眉」をするのが一般的でした。

一方、歯を黒く染める「お歯黒」は、なんと3世紀の『魏志倭人伝』に記述があるほど、日本古来の化粧法であり美意識の象徴でした。平安時代には婦女の身だしなみとされ、江戸時代には成人、結婚、出産などを機に始める女性の習慣でした。

ところで、どうやって歯を黒くしていたと思いますか?
まず、お酢・酒・米の研ぎ汁・錆びた鉄クズなどを壺に入れ2〜3ヶ月かけて「お歯黒水(別名:鉄漿水/かねみず)」を作ります。これに、タンニンを多く含んだウルシ科の木の粉を混ぜて、歯に塗り、黒く染めていきます。染まりにくい人は毎朝お歯黒をしたといいます。これがかなり異臭を放つものだったというから、当時の女性たちの美への執念を感じます。

そんな1300年以上続いてきた「引眉」と「お歯黒」でしたが、明治政府が禁止令を出し、日本の化粧史から消えていきました。理由は諸外国からあまりに不評だったためだといわれています。明治維新は、日本人の美意識の大転換期でもあったのです。

明治から平成、そして令和の美しさへ

明治、大正と時代は大きく変わり、女性も社会へ進出し暮らしや生き方も変化していきました。昭和の初めには西洋のファッションを取り入れたモダンガールが街を闊歩し、戦後はツイッギーなどの西洋人モデルをお手本にアイメイクやパーマが流行りました。

近年の珍しい現象としては、70〜80年代に人気だった小麦色の肌です。「色の白いは七難隠す」といわれるほど肌の白さが尊ばれてきた日本において、健康的な肌色は新しい美意識でした。その後は、オゾン層破壊のニュースとともに紫外線対策が広がり、美白とナチュラルメイクが主流となっています。また、メイクやファッションにも機能性を求める「賢い美意識」も最近の傾向といえそうです。

どの時代でも、世の中の動きと新しい波を敏感に感じながら工夫を凝らし、美を楽しんできた日本の女性たち。変わらないのは「きれいになりたい、身ぎれいでいたい」という想いです。そんな素敵な心を忘れずに、それぞれの美意識を認め合いながら、令和の時代を颯爽と歩いていきましょう。

ビューティー&ヘルスケア特集vol.14:スキンケアの歴史を知ろう!

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